【消された話】健康食品ブームの裏で起きた薬害事件の真相
目次
- 1: 健康志向が生んだ“奇跡のサプリ”
- 2: 副作用と回収命令──厚労省の動き
- 3: なぜ“消された”のか──背景にある力学
- 4: ラジオ形式トーク(ふもとあさと&仲間たち)
健康志向が生んだ“奇跡のサプリ”
「飲むだけで肝臓が元気になる」──そんな夢のようなキャッチコピーが、1970年代の日本を席巻した。高度経済成長の波に乗り、国民の健康意識は急上昇。サプリメント市場は右肩上がりに拡大し、テレビCMや雑誌広告には“奇跡の成分”が踊った。
中でも注目を集めたのが、肝機能を高めると謳われたある製品。芸能人が出演するCMが話題となり、ドラッグストアでは品切れが続出。「これさえ飲めば安心」と信じる人が後を絶たなかった。
しかしその裏で、医師たちは静かに警鐘を鳴らしていた。成分の安全性に関する臨床試験は不十分で、長期的な影響は未知数。ブームの熱狂にかき消されるように、専門家の懸念は表に出ることなく、製品は“健康の象徴”として広まっていった──。
副作用と回収命令──厚労省の動き
「なんだか体がだるい」「目が黄色っぽい気がする」──そんな声が、サプリを愛用していた人々の間でじわじわと広がり始めた。倦怠感や黄疸といった症状を訴えるケースが相次ぎ、医療機関では原因不明の肝障害が増加。
調査の結果、例の“奇跡のサプリ”に含まれていた成分が、肝機能に悪影響を及ぼす可能性が高いことが判明する。専門家の懸念は現実のものとなり、厚生労働省は異例の回収命令を発令。
しかし、ここでも“静かな処理”が行われた。報道はほとんどされず、商品名も伏せられたまま。多くの人がその事実を知らないまま、サプリは市場から姿を消した──。
なぜ“消された”のか──背景にある力学
では、なぜこの薬害事件は大々的に報じられなかったのか──。その理由は、当時の製薬業界とメディアの力関係にあると言われている。製薬会社はテレビや雑誌に莫大な広告費を投じており、スポンサーとしての影響力は絶大だった。
さらに、問題の製品は“健康食品”という曖昧なカテゴリに属していた。医薬品とは異なり、法的な規制や責任追及が難しく、行政も慎重な対応を迫られた。
こうして事件は、報道されることなく“なかったこと”にされていった。誰もが口をつぐみ、教訓も共有されないまま、記憶の奥に埋もれていった──。
ラジオ形式トーク(ふもとあさと&仲間たち)
さて、今日のテーマは「健康ブームの裏で起きた薬害事件」。いや〜、前半を聞いてて思ったんだけど、あの“奇跡のサプリ”って、当時ほんとに流行ってたんだね。
そうなんです。年代の日本は高度経済成長の真っ只中で、健康志向が一気に高まった時代でした。テレビCMや雑誌広告で「肝臓が元気になる!」って謳われたサプリが爆発的に売れたんですよ。
技術的に言えば、当時の成分には十分な臨床試験が行われていなかった。つまり、科学的根拠が乏しいまま市場に出回っていたわけです。
なるほどねぇ。でも、そんなに売れてたのに、なんで副作用の話はあんまり聞かなかったんだろう?
実は、服用者の中には倦怠感や黄疸といった肝機能障害の症状を訴える人が続出してたんです。医療機関の調査で、サプリの成分が原因の可能性が高いと判明して、厚労省が回収命令を出したんですよ。
ただし、その回収命令は“静かに”行われました。報道は控えめで、商品名も伏せられたまま。結果として、事件はほとんど知られずに風化してしまった。
それにしてもさ、健康食品って“なんとなく安心”ってイメージあるよね。自然由来とか、体に優しいとか。
そうですね。でもその“なんとなく”が落とし穴になることもあるんです。健康食品って、医薬品とは違って法的な規制が緩いんですよ。だから、効果や安全性の検証が不十分なまま販売されるケースもあるんです。
技術的には「食品」と「医薬品」の間にあるグレーゾーンですね。消費者が“薬っぽい効能”を期待してしまう一方で、企業側は“食品だから責任は軽い”という立場を取ることができる。
うーん、なんかモヤモヤするなぁ。信じて飲んでた人たち、かわいそうだよね。
本当にそう思います。しかも、事件が報道されなかったことで、同じような構造が今も残っている可能性があるんです。
じゃあ、私たちはどうすればいいの?健康食品って、もう信用しないほうがいいのかな?
いえ、全部を疑う必要はありません。ただ、「効果がある」とされるものには科学的根拠があるかどうかを意識することが大切です。そして、過去に起きた薬害事件のように、厚労省が回収命令を出すほどの事例もあったことを知っておくべきです。
情報の見極めが重要です。広告や口コミだけで判断せず、成分や臨床データを確認する。もし不明な点があれば、医師や薬剤師に相談するのがベストですね。
なるほどねぇ。じゃあ今日のまとめは──「健康食品は万能じゃない。過去の薬害事件を知って、冷静に選ぼう」ってことかな。
その通りです。健康志向が高まる今だからこそ、情報に流されず、正しく付き合うことが求められています。
そして、忘れてはいけないのは「事件は風化する」ということ。記録されなかった教訓は、また繰り返される可能性がある。だからこそ、こうして話題にすることが大切なんです。
うん、今日はほんとに考えさせられたなぁ。みなさんも、ぜひ身近な健康食品を見直してみてくださいね。